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岡山県視覚障害者センター

視覚障害者センターだより 令和6年(2024年)1月(通巻400号)

視覚障害者センターだより ~ロバと五つのにんじん~
令和6年(2024年)1月10日発行(通巻400号)
発行 岡山県視覚障害者センター
TEL 086-244-1121
FAX 086-244-1043
Eメール ossfc@nifty.com

● はじめに
 新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 今年の冬は、秋に続いて暖かい日が多いですね。12月10日には岡山市では20度を超えました。12月15日には西日本の上空に暖かな空気が流れ込み、季節外れの暖かさとなりました。特に九州は気温が高く、宮崎市では25度を超え、12月としては133年ぶりの夏日になったそうです。12月16日には関東地方でも25度を超えた都市がいくつかありました。今年は暖冬になるとの天気予報は当たっていました。
 さて、今月号でセンターだより「ロバにんじん」はついに通巻400号となりました。400を12カ月で割ると約33ですから、33年前の1990(平成2)年に発刊したことになります。もしかしたら1989(平成元)年からかもしれません。でも毎月ずっと発行していたのかどうか記録がないので正確なことはわかりません。400号記念企画第2弾として、当センターの歴史について書こうと思い立ったのですが文献資料が乏しく、現在はまだ調査中です。読者の皆様の中で、昔の点字図書館や視聴覚障害者福祉センターの思い出を原稿で寄せてくださる方がおられたら助かります。
 今月号も利用者の方が原稿を送ってくださったので、「読者の声」の欄に掲載しています。読者の皆様からの原稿は随時募集しています。利用者の方、利用者のご家族の方、ボランティアの方など読者の方ならどなたでもOKです。テーマや内容は自由ですので、ぜひ皆様の原稿をお寄せください。原稿はメール、FAX、手紙のいずれでも受け付けています。宜しくお願い致します。

● 今月の内容
・お知らせ
・ロバの耳より情報
・読者の声
・所長の雑談
・ICT超入門
・センターを会場に行なわれている定例会
・行事のご案内
・人気のある点字図書のご案内
・新刊図書のご案内
をお伝えします。

● お知らせ(4件)
1.1月・2月の行事予定
 利用者の皆さん向けのセンターで行われる行事をお知らせしています。申し込みが必要な行事があります。休館日は毎週火曜日と1月8日(月)成人の日、2月12日(月)建国記念の日の振替休日、23日(金)天皇誕生日です。開館時間は、午前9時から午後5時までです。図書整理日は、1月は25日(木)、2月は22日(木)で終日留守番電話対応とさせていただきます。なお、留守電のメッセージには、ご用件と共にお名前とご連絡先をお入れくださいますようお願いいたします。

1月の行事予定
12日(金) 視障協青年部ヨガ教室
14日(日) PCVOL(ぷくぼる)
21日(日) 視障協女性部料理教室・役員会
28日(日) 視覚障害を考える会「どうしてますか交流会」、OPK

2月の行事予定
 4日(日) 視障協中ブロ代表者会議 
 7日(水) 視障協川柳教室、視障協短歌教室 
 9日(金) 視障協青年部ヨガ教室
11日(日) PCVOL(ぷくぼる)
18日(日) 視障協中国ブロックグラウンドソフトボール代表者会議、手技療法研究会
25日(日) OPK

2.来年度の会議室年間予約を受け付けます
 2024(令和6)年度の会議室の予約を受け付けます。開催日程が未定であったりキャンセルの可能性があったりするかと思いますが、取りあえず開催予定日時をお知らせください。単発の行事は、随時受け付けます。平日は点訳・音訳ボランティアの定例行事がありますので、ご希望に添えなかったり、日程を調整させていただく場合があります。また、当センターの業務に直接関係のない方(町内会等)による会議室の利用については、3か月前から予約を受け付けています。なお当センターで昼食を取られる場合は、使用後の容器は業者に取りに来てもらうか、または各自でお持ち帰りください。

3.ユーチューブに当センター紹介ビデオを公開しました
 11月号で視覚障害者センターのユーチューブ公式チャンネルを開設したことをお知らせしました。お知らせしていたURL(アドレス)は下記のとおりです。
 https://www.youtube.com/@ossfc
 ユーチューブを開いて、「岡山県視覚障害者センター」というキーワードで検索しても見つかります。ユーチューブをご覧になっている方は、よろしければチャンネル登録をお願いいたします。このたび動画の第一弾として「岡山県視覚障害者センターのご紹介」を公開しました。素人である当センターの職員が製作しているため、まだまだ出来の悪い動画ですが、よかったらご視聴ください。

4.パソコンボランティアを募集しています
 当センターの活動はボランティアの皆様によって支えられています。図書製作では点訳、音訳のボランティアの皆様に大変お世話になっております。他にも必要とされるのがパソコンボランティアです。当センターを会場として、ゆうあいネットPCVOL(ぷくぼる)とOPKという二つのパソコンボランティア団体が例会を開催しています。PCVOLは毎月第2日曜日の午前と午後、OPKは毎月第4日曜日の午後に例会をしています。そこには毎回2~3名の視覚障害者の方々がパソコンやスマホやタブレットの使い方のサポートを受けるために参加しておられます。サポートをするパソコンボランティアは晴眼者と視覚障害者の方がおられますが、現在は人手が不足している状況です。特に晴眼者のボランティアを募集しています。スクリーンリーダーでは読み上げない所や分かりにくい所があり、晴眼者による画面の説明が必要となります。パソコンにそれほど詳しくない晴眼者の方でも、画面の情報を読み上げてくださるだけで助かります。毎月の例会に参加できなくても、都合のつく時だけでも結構です。友人、知人、ご家族の晴眼者の方でボランティア活動やパソコンに興味のある方に宣伝していただければ幸いです。なお、視覚障害者の方でパソコンやスマホの操作に慣れておられる方もボランティアをしていただけますので、ぜひご協力ください。

●ロバの耳より情報(2件)
1.第77回全国視覚障害者福祉大会(熊本大会)参加ツアーのご案内(主催:岡山県視覚障害者協会)
 全国大会ツアー復活第1弾!「火の国」「水の国」熊本2泊3日の旅へご案内いたします。岡山県視覚障害者協会の会員以外の方も参加可能です。ただし、会員以外の方は、大会の参加費(1000~1500円程度)の追加をお願いすることになります。日程は6月2日(日)から4日(火)までの3日間。全行程添乗員同行で、安心・安全な旅をお楽しみください。 このツアーの旅行代金は10万円(付添同額)です。参加申し込みの締め切りは令和6年2月末日、代金の振り込みは4月末までで結構です。皆様奮ってご参加ください。
 詳しい旅行日程をご説明します。(長文です)
(1)6月2日(日)
 新幹線「さくら」(午前7時30分前後)で熊本を目指します。天草の海を臨んだレストランでランチを取った後、日本の道100選にも選ばれている天草五橋(あまくさ ごきょう)をドライブします。三角(みすみ)(九州本土)から天門橋(てんもんきょう)(1号橋)、大矢野島(おおやのじま)と永浦島(ながうらじま)を結ぶ大矢野橋(おおやのばし)(2号橋)、永浦島(ながうらじま)と大池島(おおいけじま)を結ぶ中の橋(なかのばし)(3号橋)、大池島(おおいけじま)から前島(まえじま)を結ぶ前島橋(まえじまばし)(4号橋)、前島と天草上島(あまくさ かみしま)の上天草市松島町合津(かみあまくさし まつしままち あいづ)を結ぶ松島橋(まつしまばし)(5号橋)の全てを渡ってUターンします。これらの橋は、天草が真珠の養殖が盛んなことから、パールラインの愛称で親しまれています。
 次に向かうのは天草四郎ミュージアム。ここは教科書でもおなじみの「天草四郎(あまくさ しろう)」や、日本最大規模の一揆ともいわれる「島原・天草の乱」について伝えるミュージアムです。柱に隠された聖像(せいぞう)やマリア観音といった潜伏キリシタンたちの信仰を物語る展示もあり、世界文化遺産にも指定された天草諸島のキリシタン文化に触れられます。願いが叶うと噂される「愛の鐘」や、巨大な天草四郎像も。併設されたショップのオリーブソフトクリームも絶品です。ほんの少し移動して、天草最大級のお土産専門店「藍(あい)のあまくさ村」へ。約15mある日本一の「天草四郎像」があります。地元の特産品を購入できる「天草うまかもん市場」のほか、ちくわ工場の見学などもできます。
 ここから北上して、世界文化遺産の三角西港(みすみにしこう)へ向かいます。明治三大築港(めいじ さんだい ちっこう)のひとつで、オランダ人水理工師(すいりこうし)ムルドルの設計と日本人石工(にほんじん いしく)の技術が融合した湾岸都市として、明治20年(1887年)に開港しました。2015年には「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界文化遺産に登録。長さ756mの石積埠頭(いしづみ ふとう)や浮き桟橋、排水路、移築・再建された建物などが貴重な文化財として保護され、当時の風景を今に伝えています。
 今日の観光はここまで。あとは郷土料理の「青柳(あおやぎ)」で、舌鼓を打ってください。お泊りはホテルウィングインターナショナルセレクト熊本。最上階には男女別の大浴場があり、熊本城を眺めながら旅の疲れを癒すことができます。
(2)6月3日(月)
 二日目は全国大会。荷物はホテルに置いたまま、歩いて200メートルの会場へ。全国から集結した皆さんの熱気を肌で感じてください。昼食は桜の馬場城彩苑(さくらのばば じょうさいえん)。昔の城下町を思わせる町並みが広がるここは、熊本のお土産や食を集めた20以上のショップが並びます。『馬肉専門店 菅乃屋(ばにくせんもんてん すがのや)』や『森からし蓮根』、『いきなりやわたなべ』といった熊本ならではのご当地グルメもここに揃うので、熊本のうまかもんを食べたい!手に入れたい!という人は熊本城見学の後、お買い物をお楽しみください。
 平成28年熊本地震から復旧工事が進む熊本城は、2019年10月から特別公開を開始しました。日本三名城のひとつといわれる熊本城は、加藤清正(かとう きよまさ)が慶長6年(1601年)から7年の歳月をかけ築城した天下の名城です。その構えは豪壮雄大で、城域(じょういき)は98ヘクタール、周囲5.3キロメートルにも及びます。熊本城の特徴は、戦(いくさ)を想定した様々な防衛機能を備えていることです。有名なのは、敵の侵入を防ぐために大きく反り返った急勾配の石垣で、「忍び返し(しのびがえし)」「武者返し(むしゃがえし)」と称されています。ほかにも籠城が可能な設備を備えていたり、地下通路があったり、いろいろな工夫がされています。
 2日目の宿は1時間半ほどドライブして、さがら温泉まで足を延ばします。相良村(さがらむら)は県内一のお茶の産地でもあり、さがら温泉茶湯里(さゆり)からは広大なお茶畑が望めます。チェックインから館内宴会まで1時間ありますから、お食事前に温泉につかることもできます。低周波風呂、サウナ等の様々なお風呂がある大浴場や、開放感あふれる露天風呂にて湯づくしのひとときをどうぞ。
(3)6月4日(火)
 最終日は朝から幽霊見学です。永国寺 曹洞宗(えいこくじ そうとうしゅう)は応永(おうえい)15年(1408年)の創建で、相良氏第九代前続公(さがらし だい くだいまえ さきつぐ)の開基(かいき)により、実底超真和尚(じっていちょうしん おしょう)が開山(かいさん)した曹洞宗(そうとうしゅう)の寺。幽霊の掛け軸があることで有名です。常時、幽霊の掛け軸(レプリカ)は展示されており、ビデオで寺や掛け軸の由来を知ることができます。幽霊がでたという池は湧水池(ゆうすいち)で春にはつつじや海棠(かいどう)、夏には水蓮など四季折々の花を楽しめます。また、西南戦争の際の西郷軍本陣としても知られています。
 次に球磨川(くまがわ)遊覧船 梅花(ばいか)の渡しで30分の遊覧を楽しみます。江戸時代、人吉城(ひとよしじょう)と城下町を結ぶ橋は1本しかなかったと言われています。そのため、対岸と往来をするには川舟(かわぶね)が用いられ、川沿いには多くの舟渡場(ふねわたしば)があったと言われています。球磨川くだりの梅花の渡しでは人吉城址の石垣を間近で眺めることができ、春は桜、初夏の新緑、秋は紅葉が見どころとなり、まさに人吉の四季を感じることができる風情ある遊覧体験です。ただし、工事の関係で、乗船出来ない可能性もあります。
 少し先の繊月酒造(せんげつしゅぞう)では、米焼酎の酒蔵見学と試飲です。繊月酒造の名は、相良藩の居城の別名を「繊月城(せんげつじょう)」と呼ぶことから名づけられました。当時では珍しく創業当初から蔵専属の杜氏を抱え、蔵子(くらこ)の中から次の杜氏を代々輩出し、現在では6代目の杜氏が独自の伝承の技を守っています。代表銘柄の「繊月」は人吉城に浮かぶ繊月を彷彿させる芳醇な香りとまろやかな味わいの焼酎で、この地で多く愛飲されています。
 ここで球磨焼酎豆知識。「球磨焼酎」は産地指定を受け世界で認められています。ただし、人吉や球磨地域で生産されても、仕込み水が球磨川の伏流水でなければ、“球磨焼酎”とは名乗れません。「繊月酒造」では、『繊月』『峰の露』『舞せんげつ』『たる繊月』などレギュラーブランドについてはすべて球磨川の伏流水を使用しています。
 さて、人吉あたりで昼食を頂いたら、お次は熊本駅付近まで戻って水前寺成趣園(すいぜんじ じょうじゅえん)散策です。ここは国の名勝・史跡に指定されている、桃山式の回遊式庭園です。江戸初期の寛永99年(1632年)、肥後細川家(ひご ほそかわけ)・初代忠利公(しょだい ただとしこう)が御茶屋を建てたのが始まりで、その後、三代目・網利公(つなとしこう)の時に庭園が完成。中国の詩人・陶淵明(とうえんめい)の詩に由来して「成趣園(じょうじゅえん)」と呼ばれるようになりました。阿蘇の伏流水が静かに湧き出る園内には、能楽殿(のうがくでん)や大正元年(1912年)に京都御所内から移築された古今伝授の間も建っており、池を中心に築山(つきやま)、松などを眺めながら優雅に散策ができます。水前寺江津湖湧水群(すいぜんじ えづこ ゆうすいぐん)は、平成の名水百選にも認定されています。最後に熊本駅改札前で「くまモン」がお出迎えしてくれる肥後(ひご)よかモン市場に立ち寄って、お土産の買い忘れや帰りのおやつをゲット、車中の人となります。岡山到着は18時頃の予定です。
 以上で旅行日程の説明を終わります。

2.第6回ロービジョン・ブラインド川柳コンクール(主催:株式会社 パリミキ)
 視覚障害に因んだテーマを、視覚障害当事者だけでなく、それぞれの視点で「五・七・五の川柳」にして社会全体で共感することを目的とする、第6回ロービジョン・ブラインド川柳コンクールが開催されます。現在作品募集をしています。応募点数は無制限。ただし、一回の応募は5作品まで。
(1)募集部門
 次の3部門です。
 見えにくさを感じている方部門(視覚・色覚に障害のある方)
 メディカル・トレーナー部門(医師・看護師・視能訓練士・歩行訓練士・その他訓練施設等の先生方)
 サポーター部門(家族、友人、職場の方、誘導ガイド、ヘルパー、商品開発、販売者などの支援者または一般の方)
(2)募集期間
2023年12月1日(金)から 2024年1月31日(水)まで
(3)応募フォーム
 https://cbjb.f.msgs.jp/webapp/form/23688_cbjb_1/index.do
(4)お問い合わせ
 下記のロービジョン・ブラインド川柳コンクール事務局までお願いします。
 メール lv-senryu@paris-miki.jp
 詳しくは下記のホームページをご覧ください。
 https://www.paris-miki.co.jp/lv-senryu/index.html

●読者の声(1件)
   引っ越し、そして新生活   O.K
 昨年の3月31日に、私たちは原尾島の岡星寮(こうせいりょう)から、土田に新しくできた岡星寮に引っ越しました。岡星寮が新築される前から興奮状態。「部屋には棚がついてる?」「新しい寮では洗濯ものが干せる?」私たちは職員に質問をなげかけていました。それから、2月ごろに引っ越し日の発表があり、3月に入ってから順次段ボール箱をもらって引っ越しの準備を始めました。
 また、引っ越しの前に、実際に新しくできた岡星寮に行き、「みちしるべ」のMさんとKさんに歩行訓練をしていただきました。基本はトイレと居室に1人で行けるようになること。私は何度か練習したおかげでトイレと洗面所と居室に行けるようになりました。
 そして引っ越し当日。段ボール箱に詰めた荷物は業者の方が運んでくださり、私たちはバックなど必要なものをもってバスを貸し切って移動しました。
 引っ越してから最初は職員と食堂やトイレなどに一緒に行っていました。もちろん手引きはしてもらいません。右側通行で手すりを触りながら自分で行くのです。これが個人差があり、早く覚えられる人、何度練習しても覚えられない人がいました。特に引っ越して4、5日ほどは、居室から職員を呼ぶ声が聞こえたり、「トイレまで案内してください」と声をかけたりする利用者がいました。
 居室は原尾島の岡星寮では相部屋でしたが、土田の岡星寮は全室個室です。ですから、相部屋と違って気をつかうことがありません。また居室には、病院と同じようにナースコールがついていて、何かあるときはボタンを押して呼ぶことができます。
 それから私たちは、少しずつ荷物を片づけたり家具を揃えたりしました。テレビも各自で買ったり・・・。まるで自宅で生活しているような雰囲気です。しかし、皆が「個室でよかった」と言う人ばかりではありません。どうやらそれが逆効果で、デメリットの人がいるようです。寂しくて部屋に帰りづらいのでしょう。テレビや椅子などがある多目的スペースに行ってしまうのです。そのたびに迷って居室に帰れなくなったり・・・。
 今こうしてこの原稿を書いている私も「迷わないで寮内を完全に歩けます」とは言えません。ときどき迷ってしまいます。最近では寮庭で朝礼やラジオ体操をして、お茶を飲んで寮内に入っていますが、玄関に行くときに間違って洗濯室に行ってしまいます。
 さて、岡星寮が土田に移転して3月で1年になります。私も新しい生活にはだいぶ慣れてきました。しかし、まだまだ躓くことがあります。頑張っていきたいと思っています。

●所長の雑談(第9回)
 2024年がスタートしました。今年も「所長の雑談」でいろいろなことを書いていきたいと思っています。昨年、数名の方から「所長の雑談を読んでますよー」という声をお聞きして、とてもうれしかったです。今年もご愛読くだされば幸いです。
 さて、昨年の出来事をいくつか振り返ってみたいと思います。国内では、新型コロナが5類へ移行し、マスク姿の人も減っていき、いろいろな行事なども復活してきています。でも、コロナに感染したり後遺症で苦しんだりしている人は今もおられるので、今後も感染予防に努めたいものです。ちなみに私は、夏場はマスクを外すことが多かったのですが、最近は感染予防や防寒対策のために外ではマスクをすることが多いです。
 昨年の夏は平均気温が過去最高となり、猛暑を超えて酷暑となった日もありました。猛暑日は最高気温が35度以上、酷暑日は40度以上です。私は普段はJRで通勤しているのですが、8月に数回、自転車で通勤したことがあります。自宅から当センターまでは約55分かかるのですが、本当に焼け死にそうになるくらい暑かったです。昨年はどこかの中学生が自転車で下校途中に熱中症で倒れて亡くなった悲しい事故がありました。
 また、昨年はいろいろなハラスメント事件がニュースになりました。ジャニーズ事務所の性加害問題、宝塚歌劇団のパワハラ問題、自衛隊の性加害問題、全国各地の市長によるパワハラ問題、などなど数え上げればキリがありません。このような問題が一気に噴き出てきた理由としては、世の中の人権意識やコンプライアンスの意識が高まり、今まで弱い立場にあった人たちが声を上げやすくなったことや、テレビ局などのメディアが忖度せずに問題を報道するようになったこともあるでしょう。
 そもそもジャニーズ事務所の性加害問題については、約25年も前に週刊文春が記事にして、ジャニーズ事務所側は、名誉毀損に当たるとして損害賠償を求めて出版元の文藝春秋を提訴しました。訴訟では週刊文春の記事の主要部分を真実と認める判決が最高裁で確定しましたが、テレビや新聞は裁判の内容や性加害問題を詳しく報じませんでした。重大な人権侵害事件に目をつぶってきたメディアの責任は大きいと言わざるを得ません。
 週刊文春は政治家や芸能人のスキャンダルに関するスクープ記事を連発しており、その影響力から「文春砲」と世間では言われています。週刊文春はデイジー図書で読むことができます。インターネットのサピエ図書館で検索してみると、発売日のだいたい1週間後には公開されているようです。ご興味のある方は読んでみてください。

●ICT超入門(第9回)
 今回はICT機器を使ってデイジー図書(音訳図書)を聴く方法について説明します。最も簡単で費用も安価で済む方法はプレクストークというデイジー図書再生機を使うことです。当センターの利用者の方には無料で貸し出しをしています。貸出期間は視覚障害者手帳の等級によって異なります。
 プレクストークには現在PTR3(定価8万5千円)とPTN3(定価4万8千円)の二つの機種があります。PTR3はインターネットに繋がり、直接サピエ図書館からデイジー図書をダウンロードして聴くことができます。つまり当センターからCDを借りる必要がないということです。ただし自宅にインターネット環境があることが条件です。PTN3はインターネットには接続できず、CDやSDカードやUSBメモリのデイジー図書データを読み込んで再生します。どちらの機種も日常生活用具として視覚障害者手帳が2級以上の方は原則として1割負担で購入することができます。
 プレクストークは自宅の机上で使うもので携帯して外で使うことには向いていません。携帯型のデイジー図書再生機には、現在は製造中止になっているプレクストークリンクポケットがあります。PTR3と同じくインターネットに接続してサピエ図書館からデイジー図書をダウンロードして聴くことができます。プレクストークリンクポケットと同じような機器として、昨年の5月にセンスプレーヤーが発売されました。プレクストークリンクポケットよりも一回り大きく、少し重たいのが難点ですが、現在入手できる携帯型のデイジー図書再生専用機としては唯一のものです。定価は9万9800円で、これも日常生活用具として補助の対象となっています。
 デイジー図書を聴く手段として他にはパソコンとタブレットとスマホがあります。今まで説明したデイジー図書再生機とは異なり、これらのICT機器は日常生活用具としての補助はありません。ただし、日常生活用具となる拡大読書器のセットの一部としてパソコンを手に入れるという方法はあります。しかし、タブレット(iPadなど)やスマホ(iPhoneなど)に対する補助制度はありません。パソコンやスマホでデイジー図書を聴くためには、デイジー図書を再生するアプリ(アプリケーションソフト)をインストールする必要があります。このアプリはパソコン用ではマイブックネオ、スマホ用ではマイブックモバイルまたはボイスオブデイジーなどがありますが、視覚障害者用のアプリについてはパソコン用のみ日常生活用具として補助を受けることができます。ちょっと長くなりましたので、パソコンやスマホなどでデイジー図書を楽しむ方法については次号で説明します。

●センターを会場に行なわれている定例会(4件)
1.ヨガ教室(主催:岡山県視覚障害者協会青年部)
(1)開催日(1月以降)
 毎月第2金曜日、13時半から14時半まで
 1月12日、2月9日、3月8日
(2)参加費
 岡山県視覚障害者協会会員1回500円
 非会員1回1000円
 ヘルパーさんが参加される場合も同額
(3)参加申込
 前の週の金曜日までに岡山県視覚障害者協会事務局へお申し込みください。講師の先生に直接お申し込み頂いても結構ですが、事務局にも必ずご連絡願います。
(4)お問い合わせ・お申込先
 岡山県視覚障害者協会事務局
 電話 086-250-8855
 メール ossk-33@po1.oninet.ne.jp
(5)その他
 運動しやすい服装で、飲み物をご持参のうえご参加ください。

2.パソコン・スマホ勉強会(主催:PCVOL、OPK)
 PCVOL(ぷくぼる)とOPKという二つのパソコンボランティア団体があり、毎月定例会を当センターで行っています。どなたでも自由に参加でき、ボランティアによるサポートを受けることができます。PCVOLは第2日曜日の10時~16時に、OPKは第4日曜日の13時~16時に開催しています。参加費は無料ですので、どうぞお気軽にご参加ください。事前申し込みは不要ですが、できればサポート希望内容を電話で当センター(086-244-1121)まで事前にご連絡くださるとサポートがしやすいです。
(1)PCVOLの例会日(1月以降)
 1月14日、2月11日、3月10日
(2)OPKの例会日(1月以降)
 1月28日、2月25日、3月24日

3.川柳と短歌教室(主催:岡山県視覚障害者協会)
 視覚障害のために点字も普通文字も自由に使えない人も自由に参加できる教室です。
(1) 開催日(偶数月の第1水曜日)
  2月7日
(2)日程
  10時~12時 川柳教室
  12時~13時 休憩・昼食
  13時~15時 短歌教室
(3)年会費
  川柳と短歌それぞれ3000円

4.どうしてますか交流会(主催:岡山県視覚障害を考える会)
 目が不自由になってこんな事が困った、何かいい方法ないかな。いろんな悩みや思いを聞いたり話したりしてみませんか。会場とオンラインで隔月開催しています。
(1)開催日(1月以降)
 (ア)会場開催(下記日曜日の午前10時~12時)
  1月28日、3月31日
 (イ)オンライン開催(下記金曜日の午後8時~9時半)
  2月23日
(2)対象
  目の不自由な方と家族の方々
(3)参加費
  無料

●行事のご案内(1件)
1. こまくさハイキングクラブ例会のご案内
(1)1月例会
 日にち 1月21日(日) 雨天中止
 行き先 吉備の中山(吉備津彦神社・龍王山・御陵・吉備津神社)
 申込締切 1月17日(水)
(2)2月例会
 日にち 2月18日(日)  雨天中止
 行き先 広島県尾道市千光寺公園
 申込締切 2月14日(水)

● 人気のある点字図書のご案内
 全国の点字図書リクエストランキングの中から選んでご案内いたします。どうぞご利用ください。今月は13タイトルあります。現在全国でリクエストの多い図書のため予約になるかもしれませんが、お待ちくださいますようお願いいたします。また、同じタイトルの録音図書が貸出可能な場合も多いので、録音図書がご希望の場合はその旨お知らせください。
 分類のあとに該当するタイトルを並べています。それぞれのタイトルについては、書名、著者名、原本出版年、点字巻数、内容等の順に記載しています。

・倫理学、道徳
「人生に悔いを残さない:13人の達人に学ぶ、より良い後半生を過ごすヒント(TJ MOOK)」2021年 3巻

・日本史
「戦国10大合戦の謎:「桶狭間」から「関ケ原」まで、通説に消された真実(PHP文庫)」小和田哲男著 2004年 3巻

・社会
「謎と闇に覆われた恐怖の未解決ミステリー」鉄人ノンフィクション編集部編著 2023年 4巻 殺害現場に残された不可解な証拠品、謀殺・他殺が疑われる謎の転落死、原因不明のポルターガイスト現象…。79の未解決事件を紹介する。

・化学
「面白くて眠れなくなる元素 新版(PHP文庫)」左巻健男著 2022年 3巻 私たちの体は炭素・水素・酸素などからできている化合物の集まり。118種類の元素の世界を面白く役に立つ話題に結びつけて、やさしく紹介する。

・商業
「居酒屋と県民性:47都道府県ごとの風土・歴史・文化(朝日文庫)」太田和彦著 2022年 3巻

・日本文学-小説、物語
「ハヤブサ消防団」池井戸潤著 2022年 7巻 亡き父の故郷である「ハヤブサ地区」に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで消防団入りした太郎を、連続放火事件が待ち受けていた…。

「会いたかった人(ノン・ポシェット)」小池真理子著 1992年 4巻 花形心理学者・諸井小夜子は、中学時代の無二の親友と25年ぶりに再会した。が、喜びも束の間、直後から恐怖に悩まされ始めた…。

「5分で読める!ぞぞぞっとする怖いはなし(宝島社文庫 このミス大賞)」『このミステリーがすごい!』編集部編 岩井志麻子ほか著 2022年 3巻

「踏切の幽霊」高野和明著 2022年 5巻 都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着き…。

「サクラサク、サクラチル」辻堂ゆめ著 2023年 6巻 両親の熱烈な期待に応えるため、勉強漬けの日々を送っていた高校三年生の高志。ある日、クラスメートの星という少女からネグレクトを受けていることを打ち明けられる。二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることに…。

「あなたが誰かを殺した(加賀恭一郎シリーズ)」東野圭吾著 2023年 5巻 閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。そこに、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎が現れ…。

「縁結びカツサンド」冬森灯著 2020年 4巻 駒込うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」の三代目・和久。人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとは…。

「だいこん」山本一力著 2005年 7巻 気風が良くて器量好し。みんなから愛されるつばきが一膳飯屋「だいこん」を舞台に繰り広げる、人情たっぷりの細腕繁盛記。

● 新刊図書のご案内
 センターで新しく受け入れた図書をご案内します。どうぞご利用ください。今月は、デイジーが18タイトル、点字が2タイトルです。
 ご希望の図書が貸出中の場合は予約となりますので、お待ちくださいますようお願いいたします。返却期限は、お手元に2週間以内です。延長を希望される場合は、ご連絡をお願いいたします。
 メモリーに複数タイトルのデイジーや点字データを収録しての貸出も可能です(一部収録不可能な図書もあります)。その場合の返却期限は、お手元に1ヶ月以内です。
 送料は、原則として往復とも無料です。新規にリクエストいただける数は、通常6タイトル以内で、メモリーでの貸出の場合は、メモリー1個に10タイトル以内です。準備・郵送期間を考慮して、お手元にご利用中のものがいくつかある状態で、新規にリクエストいただいても結構です。
 ご利用いただける図書は、目録や新刊案内にあるものに限りません。書名がわからない場合でも、ご希望の著者や内容などからお探しします。当センターで所蔵していないものは、全国のネットワークを利用してお探しします。図書選びの参考になるような図書や雑誌もありますので、どうぞご利用ください。
 なお、センター取り扱い雑誌(約80種類)の継続利用は、図書貸出とは別枠でご利用いただけます。
 ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。

◎録音図書

○一般向けの本

・社会(1タイトル)

書名 NHK障害福祉賞入選作品集 第57回
デイジー3時間33分
発行 NHK厚生文化事業団 2022年

・機械工学(1タイトル)

書名 宇宙飛行士に聞いてみた!:世界一リアルな宇宙の暮らしQ&A
ティム・ピーク著 柳川孝二監修
デイジー11時間52分
発行 日本文芸社 2018年
内容 どこで空がおわって宇宙になるの? 訓練の間、なにを勉強するの? 国際宇宙ステーションに186日滞在した宇宙飛行士が、打ち上げ、訓練、国際宇宙ステーションの暮らし、船外活動などに関する多くの質問に答える。

・日本文学(全般)(1タイトル)

書名 岡山エンタメ文学(岡山文庫)
綾目広治編著
デイジー5時間14分
発行 日本文教出版 2023年
内容 「エンタメ文学」という観点から、多くの近代文学者を輩出した岡山県の文学の流れを見ようとする試み。森田思軒から竹久夢二、石川達三、柴田錬三郎、あさのあつこまで、明治期~現代の文学者を取り上げる。

・日本文学-小説、物語(6タイトル)

書名 あやかし動物病院の診察カルテ 3 すれ違いと煌めく未来(ファン文庫)
一文字鈴著
デイジー8時間31分
発行 マイナビ出版 2020年
内容 梨々香と直輝が付き合い始めて3ケ月が経ったある日。黒瀬動物病院のアルバイトとして、梨々香と同じくらい霊力の高い青年・圭太朗がやってきた。しかし彼はあやかしを憎んでいて…。人と動物とあやかしの心温まる物語、完結。

書名 杉原千畝(小学館文庫)
大石直紀著
デイジー3時間52分
発行 小学館 2015年
内容 第二次世界大戦、軍靴の響き高鳴る東欧リトアニアで、ユダヤ難民の人々にビザを発給し続け、6千人の命を救った日本人外交官・杉原千畝。勇気ある男の感動の真実に迫った2015年公開映画を完全ノベライズ。

書名 邂逅の森
熊谷達也著
デイジー13時間57分
発行 文芸春秋 2004年
内容 大正年間、身分違いの恋から故郷を追われたマタギの青年、松橋富治の波乱の人生を描く。奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。自然に対する畏敬の念あふれる雄大な物語。直木賞受賞。

書名 スワン
呉勝浩著
デイジー10時間41分
発行 KADOKAWA 2019年
内容 ショッピングモールで起きた無差別銃撃事件。事件の渦中にいながら生き残った少女、いずみのもとに、ある日招待状が届く。生存者たちを集めた“お茶会”、その目的は?

書名 海辺のカフカ 上
村上春樹著
デイジー12時間13分
発行 新潮社 2002年
内容 15歳の誕生日、少年は家を出た。一方、ネコ探しの老人・ナカタさんも、西へと向かう。暴力と喪失の影を抜け、世界と世界が結びあうはずの場所を求めて-。

書名 海辺のカフカ 下
村上春樹著
デイジー12時間20分
発行 新潮社 2002年

・英米文学(1タイトル)

書名 風が吹く時(ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブック)
シリル・ヘアー著 宇野利泰訳
デイジー9時間17分
発行 早川書房 1983年
内容 イギリスの小さな地方都市で音楽会最中に起った殺人事件を、イギリス風ユーモアをまじえて描く。

○NHKラジオ番組(NHK厚生文化事業団音声ライブラリー)

・FMシアター(1タイトル)

書名 はるかぜ、氷をとく
渡辺あや作 岩崎太整音楽 酒井若菜、新山千春ほか出演
デイジー52分

・新日曜名作座(2タイトル)

書名 家族じまい
桜木紫乃原作 東多江子脚色 村井秀清音楽 竹下景子、西田敏行出演
デイジー3時間2分

書名 山本周五郎・戦国短編集
山本周五郎原作 古川壬生脚色 池辺晋一郎音楽 竹下景子、西田敏行出演
デイジー3時間2分

・青春アドベンチャー(2タイトル)

書名 四捨五入殺人事件
井上ひさし原作 井出真理脚色 和田貴史音楽 加藤諒、陰山泰ほか出演
デイジー1時間16分

書名 ウブヒメ
今城文恵原作・脚本 関向弥生音楽 田村芽実、成河ほか出演
デイジー2時間31分

・ラジオ文芸館(3タイトル)

書名 芋粥
嵐山光三郎著 秋鹿真人朗読
発行 集英社
デイジー42分

書名 生きる私たちのためのスープ
寺地はるな著 岩槻里子朗読
発行 ポプラ社
デイジー42分

書名 埋め合わせ
森浩美著 昼間敬仁朗読
発行 双葉社
デイジー42分

◎点字図書

○一般向けの本

・日本文学-小説、物語(2タイトル)

書名 怪奇現象という名の病気
沖光峰津著
点字3巻
発行 竹書房 2020年
内容 精神病院で警備員のアルバイトをする中田哲也。入院患者の語る幻覚や妄想が、怪奇現象だったとしたら? 哲也は患者たちに聞き込みをはじめ、やがて自身も恐ろしい怪異に巻き込まれていく…。ノスタルジック短編連作ホラー。

書名 鬼(ちくま文庫 文豪怪談ライバルズ!)
東雅夫編
点字4巻
発行 筑摩書房 2021年
内容 人の世に光がある限り、「鬼」は必ず現れ続ける。喰らい、奪い、時に魅惑する異形の者たちを、文豪たちが描いた新機軸怪談傑作選。泉鏡花「鬼の角」、小松左京「黄色い泉」、手塚治虫「安達が原」など、全13編を収録。

(センターだより2024年1月号 終わり)